正面からとらえた画像ですが、実は旧宅から取り外したときは、すこし支柱が捻れていたそうです。
それも真っ直ぐに修正してあります。
このあたりの細やかな配慮と拘りには、流石は一流の職人のお仕事だと敬服いたしました。
後年ヤフオクにて、これと同様の乳白ガラスシェードを備えたホンモノの昭和レトロ玄関灯をいくつか発見しました。
それらを細かくチェックしましたところ、乳白ガラスのシェードも、壁付支柱金具もひとつとして同じデザイン・形のものは無く、たぶん専門の職人によってひとつづつ丹念に手作りされた一点物であったことが推察されます。
因みに出品されていましたそれらの玄関灯は、最低でも一点2万円は下らない落札相場であることが確認出来ました。
つまり少なくともその程度の価値はあるということが判明したのです。♪
しかし多少贔屓目ではありますが、それらヤフオクに出品されていましたいくつかの昭和レトロ玄関灯らと比べてみましても、私の所有するこの玄関灯の方が断然魅力的なデザインであると感じました。
ところが実際に取り外してみると、そこはやはり長年風雨にさらされてきた骨董品です。
スタンドの方は全面に緑青が噴いて、痛みが相当進行していました。
しかも、左の画像の⇒で示している箇所のハンダが、緑青の所為ですっかり劣化していまして、簡単に飾り板とその飾り枠が取れてバラバラになってしまいました。
また、シェードを留めるネジ部分も緑青で固着していて、おまけに一箇所ナットの固定部分の金属の腐蝕もかなり進んでいまして、ナットの淵には穴が開いてしまってました。
このままではいずれナットごとネジ部分が、そっくり取れてしまいそうです。
いずれにしろこのままではとても使えないほど傷んだ状態だったのです。
そこで当初はこのスタンドを破棄してシェードだけ残し、代わりに使えそうなスタンドを電気屋さんに探して頂くことにしました。
しかし、結局シェードの留め金がこのような形式のもので、このシェードに合うサイズは残念ながら見つかりませんでした。
半ば諦めかけていましたところ、今回のガレージ建設でお世話になっている大工さんから、同じく作業に来て頂いている板金屋さんの小田さんがとても手先の器用な方なので、その方にスタンドの修理をお願いしたらどうだろうというお話を伺いました。
さっそくご本人に依頼したところ、お時間をいただけるならばお預かりしますというありがたいお話になりました。
一方こちらのシェードの方はスタンドとは違い全く無傷で、傷みもくすみもない完全な状態でした。
綺麗に汚れを拭き取ると、そこには大変魅力的な乳白色のアンティークミルクガラス製のシェードが現れました。
形もデザインも気に入っていますし、この美しいシェードだけでも私にとってはとても価値の高いものなので、スタンドはダメでもこのシェードだけは活かしたいと考えるのは、たぶん私だけではないと思います。
少々手前味噌かもしれませんが、おそらく今日これだけの美しいアンティークガラス製のシェードで、無傷のものはほとんど残っていないのではないかと思います。
後日、ネットでアンティークのミルクガラスシェードを調べてみました。
フランス製のミルクガラスシェードなどが人気あるようですが、そのほとんどのシェードは縁にフリルが付いたり、花びらをモチーフにしたようなヒラヒラとしたデザインばかりでした。
一部の女性には人気があるようですが、私はハッキリいって好みではありません。
そこへいくと、このアンティークミルクガラスシェードはそれらとは全然違った雰囲気で、一般的な家庭でも違和感なく使用できて、飽きの来ないデザインだと思います。
この画像は私が翌日に撮ったものです。
これでこの高さに配線が出ていれば、玄関灯の取り付けも軒直下の適正な位置にスッキリと装着することが出来ます。
そしてまた送っていただいた上の画像を見る限り、配線の上からスタンドの台座を被せて、台座の四隅に木ねじを打っても配線を傷つけることもなく、胴縁にしっかりと固定出来ることが確認出来ました。
それにしてもこうしてじっくりと眺めて見れば見るほど、つくづくこの玄関灯はオリジナルスタンドとミルクガラスシェードがひとつになってこその一品であり、完成されたデザインなのだと思い知らされます。
つまりどちらが欠けてもこの玄関灯本来の美しさは得られないと云うことです。
当初別のスタンドを探すという重大なミスを犯してしまいましたが、今では代わりのスタンドが見つからなくて本当に良かったと思いますし、これも偶然と幸運のなせるわざだったと云わざるを得ません。
しかもこれだけのお仕事をしていただいたにもかかわらず、ごく僅かな額の報酬しか受け取られませんでした。
本当にありがとうございました!
しかもありがたかったのは、実は支柱部分の半田付けをする際に、熱量の大きな半田ごてを当てるので、支柱管の中を通っている配線コードが熱でダメージを受ける可能性がありました。
配線コードの状態を目で確認することはムリなので、通電試験まで行っていただいたそうです。
結果はなんら問題ないということでした。
本当に何から何まで実にきめ細かな配慮で作業をしていただいたのだと思うと、感激もひとしおです。
物を大切にすることのありがたさを再認識させられた一件になりました。
それにしましても、既に父も母も他界しました今となりましては、このアンティークな玄関灯がいったいどのような来歴を持つものなのか、もはや知る手立てすら無くなってしまったことは返す返すも残念でなりません。
それはこの玄関灯のみぞ知る細やかな秘密として、この先もこの姿の内にそっと留めておくことでしょう。
この3枚の画像は、プロローグで既に紹介している旧宅の画像と同じ今年の3月30日に撮影したものです。
もうお気づきだと思いますが、1枚目の画像に写る建物の右側がカーポートでした。
さてこれらの画像の玄関灯ですが、この3枚以外にも数枚の画像が残っています。
4月9日から始まる旧宅の解体工事でこの建物が無くなる前に、この玄関灯もしっかり記録に残しておきたかったのでしょう。
そしてこれを撮影した直後に、早速玄関灯を取り外して保管しています。
この玄関灯以外にも、たとえばこの左の画像の建物の壁に付けられている防犯用のセンサーライトは、既にガレージに移設しています。
またその他にも旧宅からガレージに移設した照明器具がいくつかありますが、それらは全てもっぱら廃棄するのが勿体ないというのが主な理由でした。
ところがそれらの照明器具とは違い、この玄関灯には特別な愛着があります。
それはいつもカーポートの上にあって、夜間など時々愛車を照らすのに役立っていたということもありますが、それ以前に私が子供の頃からの記憶にしっかりとこの存在そのものが焼き付いているからです。
たぶん私が生まれるずーっと以前からここに存在していたのは確かで、その造りやデザインから察するに大正から昭和初期のものではないかと考えられます。
そう考えるとこれはもう立派なアンティークですね。
しかも歴とした現役の照明器具ですから、新築のガレージに移設したいと思うのは当然ではないでしょうか。
私が生まれたときからずーっと見守ってきてくれたわけですから、これからもずーっと見守ってくれればいいと思っています。
ここにこうして優に一世紀近く頑張ってきたのですから。
そしてさらに関心しましたのは、内蔵されている電球の陶器製ソケットの電源端子の接点部分も、綺麗に磨いて下さってました。
これだけ丁寧に磨いてありますと、ますます今後も大切に扱わなければと改めて胸に刻みました。
そしてとうとう10月10日のガレージに外構アプローチが施工されたその日の夜に、板金屋さんが見事に修復したスタンドを持ってきて下さいました。
これは修復したシェード取り付け部分の拡大画像です。
3本あるシェードを固定するためのビスは、オリジナルのまま完全復活していました。
穴の開いた部分もハンダを盛って綺麗に修復してありました。
これでまた当分の間活躍してもらえそうです。
もちろん形あるものはいつかは朽ち果てるのが世の習いですが、少なくともあと10年20年は大丈夫だと思っています。
さすがはプロの職人の仕事ですねー!!
それにしましても、かくも見事に修復していただけるとは思ってもいなかっただけに、私の喜び様はご想像がつくでしょう。
そしてこの装飾的なステーに施してあります、ワンポイントの四つ葉のクローバーのような抜き型は、大正・昭和の香りがするシンプルで実に粋なデザインだと思います。
当時のもの作りの職人の手仕事には、こんなセンスと遊び心があったのですね。
旧宅から取り外して保管していた各種照明器具
この度も板金屋さんにはご面倒をお掛けしてしまいました。
重ね重ね本当にありがたいことであると、感謝の念に堪えませんでした。
今後は電気屋さんの都合が付き次第外灯を取り付けていただく予定です。
つづきはコチラ
そこで大工さんを通して、板金屋さんにムリをお願いしたところ、ここで使用した外壁トタン板の余りも残っているので、OKですと快くお引き受け下さいました。
そして10月13日の早朝に来て下さり、このように手直ししていただきました。
私は所用で朝早く家を出ていて日中は不在だったのですが、その日の夜に写メを送って下さいました。
その画像がこれと上の2枚の画像です。
電気屋さんが取り付け作業を行う際の参考にして欲しいということでした。
ところが10月10日に上記の玄関灯が復活し、再使用することが決定しましたので、この配線の取り出し位置では低すぎることが判明しました。
この画像は9月25日に撮影したものですが、この時はまだどのような外灯スタンドを使用するかハッキリしていませんでした。
そういうわけで電気屋さんの工事も、板金屋さんの外壁のトタン板を貼る作業も、大体の見当で外灯用の配線コードの取り出し位置を決めて下さってました。
飾り板とその飾り枠、そして支柱部分とのハンダ付けを拡大した画像です。
銅板の飾り板と、たぶん真鍮製の支柱管と飾り枠はしっかりと綺麗に半田付けしてあります。
私も一度は接触部分の緑青をサンドペーパーで磨いて、地肌を剥き出しにして半田付けの修理を試みましたが、家庭用の熱量の小さな半田ごてでは、熱が逃げてしまって結局巧く着きませんでした。
左様に自分でも一度は修復を試みましたので、修復の難しさは良く分かっています。