車検対応のための純正ECU書換
ところが、翌日11月7日の朝から、昨日の排ガス濃度が高くなる原因を、ハード面から全てチェックしたところ、問題や不具合は一つも見つかりませんでした。
私は三重スバルの担当メカの倉田さんから、お昼過ぎに電話で報告を受け取ったわけですが、そこで判明したことが後にとても重要な手掛かりになりました。
それは純正ECU診断器によるチェックで判ったことですが、エンジンの水温が完全に上がりきる前までの冷間時は、正常な排ガス数値で、アイドルアップが終了した直後に排ガス濃度が規定値を大幅に超えてしまうということ、さらにその後、アクセルを踏んでエンジン回転数を少しでも上げると、排ガスが規定値に戻るということが判りました。
以上のことから、純正ECU書換DATAが原因ではないかという疑いが一気に浮上してきました。
では何故、前回の車検と今回の排ガス予備検査ではOKだったのかというと、これはあくまでも推測でしかありませんが、どちらのケースもたぶん、アイドリングアップ(暖機運転)が終了する前に計測していたとしか考えられません。
これらを聞いて、直ちに三重スバルを訪れました。
そして、メカの倉田さんから実際に純正ECU診断器の計測結果を見せていただいたところ、排ガス濃度の値が異常を示しているときには、ECUの学習制御とフィードバック制御が無いことも判りました。
つまり、アイドリングアップが終了した時点のアイドリング中には、ECUの補正が全く働いていないということです。
このことからも、明らかにECUのDATAが何らかの原因で関与していることは、ほぼ間違いないと判断しました。
2011年11月6日に三重スバルで実施した、第2回目の車検が終了する予定でしたが、排ガス検査の結果、規定値を遙かに超える値が検出され、原因が不明のまま結局その日の車検は不通過のまま諦めざるを得なくなっていました。
この時点で考えられる原因としては、前日に行ったリコール対策作業時に、何らかの不具合が発生したか、各種センサー類の故障、あるいはセンサーの接触不良等があるのではないかと判断していました。
純正ECU書換が原因で排ガスNGになったとは、この時点では、まず考えられませんでした。
何故かというと、過去2009年に、このECU DATAで初回の車検はクリアしていましたし、今回の車検入庫時、11月4日に予備の排ガス検査を実施した際にも、規定値内に収まっていて問題は無かったためです。
従って、純正ECUの影響は、この時点では、三重スバルも私も除外していいと考えていました。
これが排ガス検査で、排ガス濃度が著しく濃かった数値
これがノーマルの数値
そこで早速、純正ECU書換DATAと、純正ノーマルのDATAを、私が持参した専用ノートPCにECU DATA編集ソフトのenginuityの編集画面を立ち上げて、両DATAマップを表示させて比較することにしました。
ECUの各項目ごとに、DATAマップを比較していく内に、Fuel項目のOpen Loop Fueling(Primary)マップの縦軸の一番上、エンジン回転数800回転で、横軸のエンジンロードが一番左0.1g/revから、0.3、0.5、0.7、0.9g/revと5つのセル内の数値で、ノーマルDATAと書換DATAの数値に著しい違いがあることを発見しました。
つまり、ここの部分の空燃比が、ノーマルDATAでは全て理論空燃比14.70なのに対して、書換DATAでは13.25という相当リッチな空燃比に書換られていたのです。
これはメカの倉田さんによると、アイドル回転域のエンジンのピックアップレスポンスを向上させるために、敢えてこのような予め濃いめの空燃比を設定したのではないかということでした。
これで我々は、この空燃比がアイドルアップの状態で補正をキャンセルし、基準値を遙かに超える濃度の排ガスの原因になったこと、また13.25という空燃比から試算した排ガスの濃度と、実際に計測された排ガス濃度がほぼ一致したことからも、この書換DATAの数値が、排ガス検査NGの原因にほぼ間違いないと判断しました。
その後、この部分の数値を全てノーマルDATAの数値14.70に書き換えて新たな純正ECU DATA(read image moonface original 4.hex)を作成し、純正ECUをその新DATAに書き換えて、再度排ガス検査をしたところ、無事に規定値に収まりました。 (因みに長きにわたって純正ECU書換作業に活躍してくれたこの専用ノートPCは、この後帰宅して再度起動を試みたところ、どうやらCPUが完全にクラッシュしたらしく、この作業を最後に二度と起動しませんでした!最後の最後まで本当に良い仕事をしてくれました♪)
こうして第2回目の車検も、無事に終了しました。